ボイスコイルモーターについて語る際、リニアモーションがよく頭に浮かびますが、その回転型も、正確な角度位置決め、高速振動、または制御されたトルクを必要とする用途において同様に重要です。ロータリーボイスコイルモーター（RVCM）は、リニアVCMと同じ基本的な電磁原理を応用していますが、直線運動ではなく回転運動を生成するように構成されています。これにより、正確な角度変位、高速スキャン、または安定した回転調整を必要とするタスクに最適です。
ロータリーVCMの動作原理は、ローレンツ力の直接的な応用です。リニア磁場内で直線コイルが移動する代わりに、RVCMは通常、永久磁石によって生成される円形または弧状の磁場内で回転する中心軸の周りに巻かれたコイルを備えています。コイルに電流が流れると、結果として生じる磁場が固定磁場と相互作用し、接線方向の力を生成してトルクを生み出し、コイルアセンブリを回転させます。リニアVCMと同様に、印加される電流の方向と大きさがトルクの方向と強度を直接決定し、非常に正確で動的な角度制御を可能にします。
RVCMは通常、円筒型とアークセグメント型の2つの主要な設計タイプがあります。円筒型は、より大きな回転角度を必要とする用途によく使用され、アークセグメント型は、より小さな角度移動と、限られた範囲内での非常に正確な位置決めに適しています。どちらの設計も、VCMテクノロジーの固有の利点を活用しています。
ダイレクトドライブとバックラッシュゼロ：リニアVCMと同様に、ロータリーバージョンはダイレクトドライブであり、動力伝達にギア、ベルト、または機械的リンケージは関与していません。これにより、バックラッシュが排除され、制御信号への即時かつ正確な応答が保証され、システム全体の剛性と再現性が向上します。
コギングフリー動作：VCMの固有の設計により、一部の従来のモーターに見られる不均一なトルク生成であるコギングが防止されます。これにより、非常にスムーズで均一な回転運動が得られ、これは、高感度なスキャンやアライメントタスクに不可欠です。
高加速度と高速セトリング：低慣性と効率的な力生成により、RVCMは非常に高い角加速度を達成し、希望の位置にすばやくセトリングできるため、システムのスループットと動的性能が向上します。
優れた制御性と低ヒステリシス：電流とトルクの直接的な比例関係と、最小限のヒステリシスの組み合わせにより、非常に細かく、再現性の高い角度位置決めと速度制御が可能になります。
高い信頼性と長寿命：可動コイルと固定磁石の間には物理的な接触がないため、摩擦による機械的摩耗がなく、長い動作寿命とメンテナンスの削減につながります。
ロータリーボイスコイルモーターは、さまざまな業界で重要な用途を見つけています。光学システムでは、レーザーシステムでのミラーのスキャンとチルト、高速ビームステアリング、および光学機器での正確な調整によく使用されます。ハードディスクドライブでは、プラッター上の読み取り/書き込みヘッドの高速かつ正確な位置決めに不可欠です。医療技術では、RVCMは、特定のスキャンデバイスや流体処理システムなど、正確な角度運動を必要とする診断機器に見られます。また、ロボット工学、特にスムーズで制御された角度運動が最重要である小型の高精度ロボットアームやエンドエフェクターでも役割を果たしています。さらに、精密な角度インデックスと振動試験のための試験および測定機器にも役立ちます。
機械的な複雑さなしに、正確で高速かつスムーズな角度運動を提供する能力により、ロータリーボイスコイルモーターは、性能と信頼性が不可欠な高度なシステムを設計するエンジニアにとって不可欠なコンポーネントとなっています。